「あー、そっか。お嫁さんじゃなくて、お嫁さんになるかもしれない子?」
「っ、はぁ!?」
訂正した由紀さんの言葉で、彼女さんの怒りはマックスだ。
もう火に油を注ぐだけだから、何も言わないでほしい。
それか私のいないところでやってほしい。
巻き込まれたくなくてこっそり逃亡をはかろうとしたけど、彼女さんにギロリと怖い目で睨まれてしまい、それは失敗に終わってしまった。
「ちょっと! あなた、本当に由紀と結婚する約束をしてるわけ!?」
「いや、その……結婚する約束をしているわけではないです」
「それなら、由紀のことは遊びだっていうの!? サイテイじゃない!」
「いえ、由紀さんとはこんな風に出かけたりとか、遊んだことすらないですけど……」
「遊んだことすらないって、まさか……あなた、由紀の身体だけが目当てで近づいたってこと……!?」
――どうしよう。何を言っても事実が湾曲して伝わっている気がする。



