「やーっぱ千夏子ちゃんじゃん。もしかして一人?」
緩く手を振りながら近づいてくる由紀さんと、その隣には女の人もいる。
由紀さんの腕に絡みつくようにして寄り添っている女性は、すごく綺麗な人だ。
腰元まで伸びた明るい茶髪は綺麗に巻かれているし、スタイルもいい。
顔も小さいし目鼻立ちもはっきりしていて、モデルさんみたいだ。
純粋に由紀さんとお似合いだなって思う。
「ねぇ、誰? 由紀の知り合い?」
雰囲気からして由紀さんの彼女であろう女の人は、不満そうな表情で由紀さんを見上げている。
私というどこの馬の骨とも知れない存在を見て、不安にさせてしまっているのかもしれない。
要らない心配をかけさせないためにも、私はさっさと退散することにしよう。