一色さんは目を丸くしている。
我が家の金銭的な事情については、組長さんから聞いていなかったみたいだ。
ということは、私が借金帳消しのために、お嫁さん候補として桐野江家にきたってことも、五人は知らされていないんだろうな。
……これって伝えておいた方がいいのかな? でも、組長さんが伝えていないってことは、私から言う必要もないよね?
我が家は借金を抱えるほど貧乏でしたってわざわざ公表するのも、何だか嫌だし。
もし聞かれた時には、正直に答えることにしよう。
「ねぇ、千夏子ちゃん」
「はい、何ですか?」
お会計を済ませたら、一色さんは私が持つエコバッグをさらっと持ってくれた。そして空いた手を繋いでくる。



