「ふっ……千夏子ちゃんってすごく顔に出やすいタイプだよね」
カゴを持ってくれた一色さんが、肩を震わせて笑いをこらえている。
「千夏子ちゃん、服とかアクセサリーとか、本当はそこまで欲しいものがあるわけじゃないんでしょ?」
「……はい、そうです」
「欲しい物を買ってあげるって言って、そんな難しい顔して考え込み始めちゃう女の子、はじめて見たよ」
「す、すみません。その、これまでアクセサリーなんて買う余裕もあまりなかったので、何が欲しいと言われてもすぐには思い浮かばなくて」
「千夏子ちゃんのお家って、あんまり裕福ではなかったの?」
「そうですね……私が幼い頃に母が亡くなっているので、元々質素な生活を心がけてはいましたけど、数か月前に父が騙されて多額の借金をしてしまったんです。なので切り詰めた生活を送ってはいましたね」
「そう、だったんだ」



