【番外編更新中】騙し愛され落とし合い ~借金帳消しのために、××の家でお嫁さん候補としての生活を始めます~



ソワソワしながら障子戸が開くのを待つけれど、跡取り候補の男性陣どころか、お嫁さん候補の女性たちすらも、一向に姿を見せない。


(え、もしかして私、来る日を間違えちゃった? ここで待ってればいいんだよね……?)


不安に思っていれば、約束の時刻まであと五分になったところで、ようやく障子戸が開いた。


「待たせちまってすまねぇな。オレは桐野江辰寿(きりのえたつひさ)だ。お嬢さんが、来栖さんところの娘さんだな?」

「は、はい。来栖千夏子です。はじめまして」

「はっはっ、そう固くならなくても大丈夫だ。楽にしてくれ」


まず初めに入ってきたのは、白髪交じりの黒髪をしたお爺さんだった。


お父さんに見せてもらったスマホの写真に写っていた男性。

つまりこの人が、桐野江組の組長さんということだ。

よく見ればその左頬には、古い一本傷の跡がくっきりと残っている。


そして、組長さんの後に続いてぞろぞろと現れたのは、五人の男の子たち。

年は私と同じくらいの子もいれば、私より年上っぽい人もいる。

タイプは違うけれど、皆それぞれ、整った顔立ちをしている。