「まぁ千夏子ちゃんの気持ちも分かるからね。他人の振りは難しいかもしれないけど、一緒に暮らしているってことはバレないよう、ほどほどに適切な距離を持って関わるようにするってことでいいんじゃないかな? 特に、同じクラスの二人ね」
「別に俺は……元々校内でコイツと関わろうなんて思ってねぇよ」
一色さんの言葉に、一瞬目が合った一哉くんはそう返した。
言い方は冷たくも感じるけど、私のことを考えてそう言ってくれたんじゃないかなって……そんな気がするんだよね。
口は悪いけど、一哉くんが実は優しい人だってことは、一緒に生活する中で何となく分かってきたしね。
だけど、慎くんは……。
「慎のやつ、寝てるし」
隣にいた玲くんが、呆れた顔をして慎くんを見下ろしている。
すでに夢の中に旅立ってしまった慎くんには、翌日、私の考えを改めて伝えているんだけど……私の平穏な高校生活を送りたいっていう思いは、きちんと伝わっているんだろうか。



