「ん~……あれ、千夏子じゃん。同じクラスなんだ」
次に目が合った慎くんは、平然と私の名前を呼んで、声を掛けてきた。
というか今、はじめて名前を呼んでもらえた気がする。
それは嬉しいんだけど、だけどね……。
(慎くん、ちょっとは空気を読んで!? こんなクラスの皆が見てる前で、そんな親し気な感じで声を掛けてきたら……!)
「え、何あの子」
「見たことないし、中等部からの持ち上がりではないよね? ってことは高校からの入学組でしょ?」
「慎くんとどういう関係なわけ?」
女の子たちのヒソヒソ声が聞こえてくる。
突き刺さる視線が痛い。
――どうやら入学初日にして、私の学園生活、前途多難でしかないフラグが立ってしまったみたいです。



