「ねぇ、私は美馬朱里っていうんだけど、あなたの名前は?」
「私は、来栖千夏子っていいます」
「それじゃあ千夏子って呼んでもいい?」
「うん、もちろん!」
「やった! 私のことも朱里って気軽に呼んでよ。同じクラスだし、これから仲良くしよ!」
サバサバした雰囲気の彼女は、中等部からの持ち上がりらしい。
半数以上は持ち上がりらしく、見覚えのない私がいることに気づいて、友達になりたいなって声を掛けてくれたみたい。
教室に入れば、生徒たちのおしゃべりで賑わっていた。
朱里ちゃんの言う通り、中等部からの持ち上がりの子が大半だから、顔見知りも多いんだろう。
それに由紀さんが言っていた通り、校則なんかはだいぶ緩いみたいだ。
改めて見てみれば、スカート丈がすごく短めな子もいるし、教室についた途端、ブレザーを脱いでセーターを着用している子もいる。
さすがに入学式の時には、ほとんどの生徒がきちんとした格好をしていたみたいだけど。
「ウチらほんとにラッキーだよね。まさか慎くんと一哉くん、二人と同じクラスになれるなんてさ!」
その時、女子生徒が耳打ちし合っている声が聞こえてきた。



