「はい、慎くんこれ。鮭と梅にしたけど食べれる?」
「んー、だいじょうぶ」
眠いだ何だとぐだぐだ言っていた慎くんの手におにぎりを持たせて、皆で一緒に家を出た。
組長さんの部下である黒服さんたちは、私たちを車で送ってくれようとしていたみたいだけど――目立ってしまうのは嫌なので、丁重にお断りした。
そもそも、桐野江家から学校までは徒歩十五分くらいだし、入学式が始まるまでにはまだ余裕があるからね。
桐野江家の五人は、徒歩だったり車で通学したりと、その日の気分で通学方法を変えているらしい。
一哉くんなんかは、毎日絶対に徒歩で通っているみたいだけど。
今日は私が歩いていくって言ったら、それに皆も賛同して、一緒に歩いて登校することになったんだけど……。



