「……慎くん、ちゃんと掃除はしてるの?」
「失礼な。ちゃんとコロコロはかけてるから」
「……まぁ、とりあえず、今は学校に行く準備をしちゃお! 制服は……あった! 私は出てるから、慎くんは早くこれに着替えて! その間に、学校に向かいながら食べれるおにぎりでも用意しておくから」
ベッドの横に放置してあった制服を手渡して、せめて歩ける動線は確保しようと、散らばっているものを一か所にまとめておく。
「何かアンタって、お母さんみたいだよね」
「……はっ!」
――ま、またやってしまった……!
一哉くんにもこの前、ばあちゃんとかババアって言われたばっかりだったのに……まさかの今度はお母さんって……。
「ち、違うの。これは、その……私が我慢できなかっただけだから!」
「我慢って何を?」
「だ、だらしない姿を見るのが嫌で、見過ごせない性分なの! だから私は、私の我儘で、慎くんのお手伝いをしてるだけなんだからね!」
――ふぅ、かなり強引ではあるけど、何とかやり過ごせただろうか。
これで少しは、我儘な女だなって思ってもらえたかな?



