「あ、そうだ。そういえば桐野江さんって、ご飯はちゃんと食べてるんですか?」
「んー、今日はカロリーメイトと、アイス食べた」
「……え、それだけ? それだと、栄養が偏っちゃいませんか?」
「別に大丈夫なんじゃない? 食べなくて困ったこともないし、ちゃんとここまで成長できたんだから」
「まぁ確かに、桐野江さんって背もすっごく大きいですよね」
軽くぶつかった手に何となく目がいってしまい、私はよく考えもせず、桐野江さんの右手に自分の左手を重ねてみた。
「わ、手の大きさも全然違う」
「……アンタそれ、もしかして狙ってやってんの?」
「ねら……何のことですか?」
「……ま、いいや。ていうかアンタって、何か変な奴だよね」
「そうですか? 私より桐野江さんの方が、よっぽど変わってると思いますけど」
「ほら、そうやって俺にズケズケ言ってくるところとか。俺、一応ヤクザの家の息子なのに」
訝しそうな顔をしていた桐野江さんだったけど、すぐに何か考えるような顔つきになる。



