「っていうかアンタって、何でバイトなんてしてんの?」
「え? 何でって……お金を稼ぐためです」
「わざわざアンタがする必要ある?」
「ウチ、多額の借金があって。返済のためっていうのもありますし、生活するためにも、やっぱりお金は必要なので」
「でも今はウチで生活してるんだから、必要なくない?」
「でも、いつまでこの生活が続くかは分かりませんし……」
「ふーん。何だか面倒そうだね」
桐野江さんは両手を後頭部で組みながら、気だるそうな顔で言う。
「ま、興味はないけど」
そう続けて、また欠伸を漏らしながら、のんびりと隣を歩いている。
……何ていうか、すごくマイペースな人だ。



