「……え、桐野江さん?」
「うん」
「あの、どうしてここに?」
「ジャンケンで勝っちゃったから、仕方なく迎えにきてあげた」
「ジャンケンで勝っちゃったから、仕方なく……?」
(それって普通、ジャンケンに負けちゃった人が行くやつでは? というか、どうしてわざわざ迎えにきてくれたんだろう?)
不思議に思っていれば、まだ近くにいたおじさんが絡んでくる。
「おぉ~、彼氏のお迎えかぁ? はぁ、最近の若い子は、淫らだからなぁ。帰ってヤルことヤルんだろぉ? ん~?」
「は、何このおっさん。キモイし面倒くさいんだけど」
おじさんを視界に映した桐野江さんは、嫌そうに眉を顰める。



