***
コンビニでのバイトを終えて、店外に出る。
四月一日から始めたバイトは、店長も先輩もいい人達ばかりだ。
スマホの画面を確認すれば、時刻は二十時を過ぎていた。
街灯が照らす夜道を気持ち足早に歩いていれば、前方から歩いてきたおじさんに絡まれる。
「よー、お姉ちゃん、かあいいねぇ。おじさんと一緒に、一杯どお?」
「……いえ、結構です」
顔が真っ赤なおじさんは、完全に酔っぱらっているようだ。
呂律も回っていないし、足元もふらふらと覚束ない。
「そぉんな、つれないこと言わないでさぁ」
おじさんを無視して横を通り過ぎようとした時、見知った顔が近づいてくるのが見えた。



