「お誘いは嬉しいんですけど、私、今日はお昼過ぎからバイトが入ってるんです」
「あー、そっか。明日から学校も始まっちゃうしね。それじゃあ……週末はどうかな?」
「週末ですか? 土曜日なら、一日空いてますけど……」
「それじゃあデートは土曜日ってことで。いいかな?」
「……よろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げれば、一色さんは「よかった」と微笑む。
反対に玲くんと一哉くんは、納得のいっていなさそうな顔をしているけど。
でもこれは、一色さんとの距離を縮めるチャンスだ。
桐野江家にお邪魔することになってから、まだ一週間も経っていない。
だけどまずは、全員と少しでも仲良くなりたい。
だって借金を帳消しにしてもらうには、誰かのお嫁さんにしてもらうしかないんだから。
私だって、できれば好きな人と結婚したいし……だから、まずはそれぞれの人となりを知ってから、結婚について考えていきたい。
まあ大前提として、皆さんのお眼鏡にかなわなければ意味がないんだけどね。



