「デートですか?」
「そ、デート」
一色さんは、肩上までの綺麗な紫色の髪をハーフアップにしている、顔立ちの整った綺麗なお兄さんだ。
私が返事をするより先に、玲くんと一哉くんが声を上げる。
「尊、抜け駆けはズルいんじゃない?」
「止めといた方がいいんじゃねーの。尊は腹の内で何考えてんのかわかんねぇし」
玲くんは不満そうだし、一哉くんは、尊さんと出掛けることに反対みたいだ。
「ズルいって思うなら、玲も今度お誘いすればいいんじゃない? というか一哉ってば、千夏子ちゃんにえらく優しいじゃん。もしかして、本気で好きになっちゃった感じ?」
「っ、はぁ? そんなわけねーだろ! 誰がこんなババアなんかに……!」
「ば、ババア!?」
一哉くんのババア発言に思わず声を荒げてしまえば、一色さんと玲くんが同時に噴き出した。



