「ねぇ千夏子ちゃん。今日はお兄さんとデートしない?」


桐野江家の大広間にて。

朝食の席には、私と玲くん、一哉くんに、今声を掛けてきた、一色尊さんがそろっている。


組長の辰寿さんは用事があるらしく、朝早くから家を出ている。


由紀さんと桐野江慎さんは、多分まだ寝ているのだろう。

由紀さんの方は、昨日は朝食を食べにきてくれた。

だけど桐野江さんは、私がここにきてから、まだ一度も朝食の席に顔を出していない。


玲くんが言うには、朝がとてつもなく弱いらしい。

そして極度の面倒くさがり屋で、部屋にこもっていることが多いんだって。

食事はしっかりとれているのか、それが心配だけど……。


――って、今はそんなことを考えている場合じゃなくて。