「お前……ばあちゃんかよ」
「なっ、ばあちゃんとは失礼な! これでも私、院瀬見さんと同い年なんですからね! ……って、」
(どうしよう、完全に間違った。我儘な女性を演じるつもりが、ばあちゃんって……我儘な女性は、多分、服についたガムをわざわざとってあげたりしないのでは?)
今の自分の行動が、好みの女性から完全に外れていることに気づいた私は、何とか挽回できないかと、頭を働かせる。
「い、言っておきますけど、これは違いますから。これは院瀬見さんのためにやったんじゃなくて、私の培った知識を活かすために、実践してみただけです! か、勘違いしないでくださいね!」
「は? 何言ってんだお前」
(って、ちがーう! さっきから何言ってるの私! これは我儘な女性っていうより、ツンデレというやつでは……というか、我儘な女性ってどうすればいいんだっけ!?)
院瀬見さんに、すっごい不審者を見るような目で見られている気がする。
視線を逸らしながら焦っていれば、院瀬見さんが小さなため息を落とした。



