――そんなやりとりをしつつも無事に洗濯物を干し終えた私は、玲くんと由紀さんと別れて、屋敷の廊下を歩いていた。
バイトの時間まであと二時間はあるので、次は部屋の掃除でもしようかと考えていれば、前方に赤い髪をした男の子が歩いているのが見える。
あの赤髪は、院瀬見一哉さんだ。
確か彼は、私と同い年だったはず。
まだ会話らしい会話をしたことはない。多分私は、院瀬見さんに避けられているんだと思う。
朝食でも顔を合わせたけど、目が合ってもすぐに逸らされてしまったし。
でもこれは……仲良くなるチャンスかもしれない。
私は院瀬見さんの後を追いかけた。
彼は脱衣所の方に入っていったみたいだ。
そうっと覗いてみれば、苛ただしげな独り言が聞こえてくる。



