――でも、この中の誰かに本気で恋をする日が、もしかしたらきたりして……。
だって、この先の未来がどうなるかなんて、誰にも分からない。
絶対にありえないなんてことは、きっとない。
今はまだ、恋愛とかよく分からないけど……。
繋がれた手を見つめていれば、その手を持ち上げられた。
私も視線を持ち上げれば、目が合った慎くんが微笑んでいる。
「千夏子、帰ろ」
私を見つめる優しい表情にドキドキしていれば、空いている反対の手を玲くんに繋がれる。
「千夏子さん、慎とばっかりずるいですよ」
「慎~。お前さぁ、さっきから抜け駆けばっかすんなよ」
「おい、お前ら。まずは千夏子の気持ちも考えろよな」
「え~、そんなこと言って、お前だって千夏子ちゃんとイチャイチャしたいくせにさぁ」
「なっ、誰もそんなこと言ってねぇだろ!」
「またまた~、これだからむっつり一哉くんは」
皆が集まってくれば、いつもの賑やかで騒がしい空気が広がる。



