「……今更ですけど、千夏子さんが結婚相手の候補として桐野江家にきたのは、やっぱり借金返済のためなんですよね?」
「それは……うん。そういうことです」
「マジか。や~っぱ千夏子ちゃんて、ドラマとかマンガののヒロインみてーだよなぁ」
「それじゃあ千夏子ちゃんは、借金返済のためにも、頑張って俺らを落とさないとってことだね」
「……由紀さんも尊さんも、面白がってますよね?」
玲くんに尋ねられたので、正直にうなずいた。
ニコニコ笑っている由紀さんと尊さんは、私が借金返済のために誰かのお眼鏡にかなわなければならないっていうこの状況を、完全に面白がっているみたいだ。
「それじゃあ千夏子、俺にしておきなよ」
すぐそばにやってきた慎くんが、後ろから覆い被さるようにして抱きついてくる。
そして、指先を絡めるようにして手を繋いでくる。



