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「はぁ、つっかれたぁ」
カラオケ店からの帰り道。
両手を組んで伸びをしている由紀さんの少し後ろを歩いていた私は、足を止めて五人を呼び止める。
「あの! わざわざ助けにきてくれて、ありがとうございました」
お礼を伝えれば、五人はきょとんとした顔になる。
私からお礼を言われるなんて思ってもいなかったって顔だ。
「うん、どーいたしまして」
「つーか、元はと言えばお前のせいだろ」
へらりと笑う由紀さんに、一哉くんが突っ込んだ。
玲くんも、一哉くんに同意するように言葉を続ける。
「一哉の言う通りです。千夏子さんは巻き込まれただけなんですから、わざわざお礼なんて言わなくてもいいですよ。この場で由紀を引っ叩いたって、誰も文句は言いません」
「え~、玲ってばひでぇ」
「あはは。でもね、皆がきてくれて安心したというか……嬉しかったから」
素直な思いを笑って伝えれば、五人はまた、似たような表情をして固まってしまう。
……どうしたんだろう? 私、そんな変なこと言ったかな?



