「お嬢さまに無礼を働いた落とし前、きっちりつけてもらおうか」
控えていた五人の男の人たちが、由紀さんたちに向かっていったからだ。
だけど私は、この間助けてもらった一件で、由紀さんたちの強さを十分に知っているから――あぁ、やっぱり。
ものの十秒くらいで男の人たちを軽々伸してしまった由紀さんたちは、久美さんの横を通り過ぎて私のところまで歩いてくる。
そして、ソファ席に座っていた私の手を引いて立ち上がらせてくれる。
「ってことだからさ、千夏子ちゃんは返してもらうわ」
「な、何で……どうしてよ……!」
「あん時久美ちゃんに声をかけたのは、ただの気まぐれだからさぁ。悪いけど、もう俺らに関わってこないでねぇ。……あ、そうだ」
由紀さんは、久美さんのもとへと歩み寄る。
「もし今後、千夏子ちゃんに危害くわえるような真似したら――そん時は、こんなもんじゃすまさねーから」
久美さんだけに聞こえるような声で何か囁いた由紀さんは、再び私の手をつかんで歩き出す。
気になって振り返れば、久美さんは顔を強張らせて固まっていた。



