「まぁ俺は、由紀と同意見かな。千夏子ちゃんと一緒にいると退屈しないし、千夏子ちゃんが悪女だとしたら、それはそれで面白いから全然ありだよ」
「何だかよくわかんねーけど……まぁ、千夏子の生活の知恵聞いたりする生活にも慣れてきたしな。千夏子がどういう性格してるかってことも分かってるし、今更幻滅するとかねぇよ」
「むしろそこが、千夏子さんのいいところですから。作ってくれる料理もいつも美味しいですし、家庭的で素敵だと思います」
尊さん、一哉くん、玲くんと、久美さんの言葉を否定した。
――私が桐野江家で皆と過ごしていることを、当たり前のように受け入れてくれていることが伝わってきて、嬉しくなってくる。
「つーことだから、千夏子ちゃんは返してもら……」
由紀さんが一歩足を踏み出そうとした。
だけど、その行く手は阻まれてしまう。



