【番外編更新中】騙し愛され落とし合い ~借金帳消しのために、××の家でお嫁さん候補としての生活を始めます~



「ん~、まぁ確かに、久美ちゃんは今どき美人って感じで器量もいいと思うよ? その点、千夏子ちゃんは女子高生とは思えねーくらい所帯じみてるし、作ってくれる弁当は茶色っぽいし、あれしろこれしろって口うるせぇ時もあるけどさぁ」

(え、もしかして私、悪口言われてる?)


由紀さんは私に視線を移すと、二ッと笑う。


「でもさぁ……千夏子ちゃんがきてから、退屈しないんだよね。毎日面白ぇの。だから俺的には、むしろ千夏子ちゃんになら誑かされてみてぇかも」

「な、何よそれ……」


由紀さんの返しが予想外だったのか、久美さんは呆然とした顔をしている。

だけどすぐに気を取り直して、由紀さんの後ろにいる男子たちに話しかける。


「あ、あなたたちはどうなの? この子がこんな悪女だって知って、幻滅したんじゃない?」

「あくじょ?」


慎くんは言葉の意図が汲みとれないって顔をして、不思議そうに小首を傾げている。