「ん~、まぁ確かに、久美ちゃんは今どき美人って感じで器量もいいと思うよ? その点、千夏子ちゃんは女子高生とは思えねーくらい所帯じみてるし、作ってくれる弁当は茶色っぽいし、あれしろこれしろって口うるせぇ時もあるけどさぁ」
(え、もしかして私、悪口言われてる?)
由紀さんは私に視線を移すと、二ッと笑う。
「でもさぁ……千夏子ちゃんがきてから、退屈しないんだよね。毎日面白ぇの。だから俺的には、むしろ千夏子ちゃんになら誑かされてみてぇかも」
「な、何よそれ……」
由紀さんの返しが予想外だったのか、久美さんは呆然とした顔をしている。
だけどすぐに気を取り直して、由紀さんの後ろにいる男子たちに話しかける。
「あ、あなたたちはどうなの? この子がこんな悪女だって知って、幻滅したんじゃない?」
「あくじょ?」
慎くんは言葉の意図が汲みとれないって顔をして、不思議そうに小首を傾げている。



