「だってこの子、由紀だけじゃなくて、その人たちのことまで誑かして手玉にとろうとしてたのよ? しかも多額の借金を抱えてるの! お金目当てで由紀たちに近づいた、悪女なのよ!」
「ふっ」
久美さんの言葉で、誰かが吹きだした。
「……尊、何笑ってんだよ」
「だって、千夏子ちゃんが俺らを手玉にとってるってさ……想像したら面白いなって」
一哉くんに呆れた目を向けられている尊さんは、肩を震わせて笑いを堪えている。
「だ、だけど! ウチは結構裕福な家庭だし、私は頭も良ければ自分が美しいって自覚もあるわ。まさに才色兼備よ。由紀の隣に並ぶのに相応しいと思うの! だからね、こんな子じゃなくて私と付き合って! 将来は私をお嫁さんにしてよ!」
私を指さした久美さんは、由紀さんに自分のアピールポイントを熱弁している。



