「……つ、付き合いません!」
「えー、何で?」
「何でも!」
隣を歩いている慎くんを追い越して、早足で歩く。
――最近の慎くんは、ちょっと変だ。
急にキスしてきたり、抱きしめてきたり。
慎くんは特に何も考えないでそういうことをしているのかもしれないけど……恋愛経験なんて皆無の私に、過度のスキンシップはキャパオーバー過ぎる。
変に意識しちゃうから、もうやめてほしいのに……。
「それじゃあさ、これからは俺と付き合うってことも視野にいれて考えてよ」
慎くんは、そんな私の気なんて知らないで追撃してくる。
――近い、近いから! これ以上綺麗な顔を近づけないでほしい……! 心臓に悪い!



