「ちょ、ちょっと慎くん、離して……!」
身をよじって顔を上げる。
見上げた慎くんは、怖い顔をして祐樹くんを睨みつけていた。
この前、借金取りに攫われた件もあったから、それで心配してくれているのかもしれない。
でもまずは、誤解を解かないと……!
「し、慎くん! 祐樹くんは私の知り合いだから、だいじょうぶだよ!」
「知り合い?」
「そう。昔からお世話になってた人で、お兄ちゃんみたいな人なの!」
「お兄ちゃん……」
私の言葉を復唱した慎くんは、祐樹くんを穴が開くんじゃないかってくらい、ジーッと見つめる。
「ふふ、こんにちはぁ。千夏子ちゃんのお兄さん的存在の、真壁祐樹よ」
「……こんにちは」



