【番外編更新中】騙し愛され落とし合い ~借金帳消しのために、××の家でお嫁さん候補としての生活を始めます~



「ちょ、ちょっと慎くん、離して……!」


身をよじって顔を上げる。

見上げた慎くんは、怖い顔をして祐樹くんを睨みつけていた。

この前、借金取りに攫われた件もあったから、それで心配してくれているのかもしれない。

でもまずは、誤解を解かないと……!


「し、慎くん! 祐樹くんは私の知り合いだから、だいじょうぶだよ!」

「知り合い?」

「そう。昔からお世話になってた人で、お兄ちゃんみたいな人なの!」

「お兄ちゃん……」


私の言葉を復唱した慎くんは、祐樹くんを穴が開くんじゃないかってくらい、ジーッと見つめる。


「ふふ、こんにちはぁ。千夏子ちゃんのお兄さん的存在の、真壁祐樹よ」

「……こんにちは」