「はい、アイスココアよ」
「ありがとう、祐樹くん」
「それで? 会うのは久しぶりだけど、何かあったのかしら?」
「うん、それはもう……本当に色々あってね……」
「あら。それじゃあ早速、近況を聞かせてもらおうかしら」
目の前でグラスを拭いている祐樹くんに、この一か月であった出来事を話した。
桐野江さんがお父さんの借金を肩代わりしてくれたこと。
その代わりに、私がお嫁さん候補として桐野江家でお世話になっていること。
だけど他のお嫁さん候補のお嬢さんたちは全員辞退してしまって、私一人になってしまったこと。
跡取り候補の皆はクセが強くて、上手くやっていけるか不安だったけど、少しずつ仲良くなれている気がしていること。
つい最近お父さんが会いにきて、アメリカに行こうと言われたこと。
それを断った私は一人で日本に残り、今も桐野江家にお世話になっていること。
だけど跡取り候補の皆からは、揶揄われたりしてばかりなこと。



