【番外編更新中】騙し愛され落とし合い ~借金帳消しのために、××の家でお嫁さん候補としての生活を始めます~



「あら、お客さん? ごめんなさいね、今はまだ準備中で……って、千夏子ちゃん?」

「祐樹くん、こんにちは」

「久しぶりねぇ! どうぞ、入ってちょうだい」


ニコニコと無邪気な笑みを浮かべている彼は、真壁祐樹(まかべゆうき)くん。


話し方は女の人って感じだけど、見た目は普通に男の人だ。

身長も高くて綺麗な顔立ちをしている彼は、艶のある長い黒髪を、後ろで一つに結んでいる。


お父さんの古い知り合いらしい祐樹くんは、ここで個人経営のお店を営んでいる。

日中は喫茶店で、夜の時間帯にはバーになるんだって。


まだ中学生だった私は、とうぜんアルバイトはできなかったけど、祐樹くんがこのお店で、こっそり裏方のお仕事を手伝わせてくれたんだ。それでお小遣いをもらったりしてた。

すごく優しくて頼りになる、気のいいお兄さんなの。