でも、桐野江家男子たちと関わる限り、こういうことはまたありそうだよね。
確かに、高校からの編入組の私がいきなり仲良さそうにしていたら、どうしてって思うのも無理はないだろうし。
だから学校ではなるべく関わらないようにしているんだけど……慎くんや由紀さん、それに尊さんなんかも、気にせず話しかけてくるからなぁ。
(はぁ。こんな時、誰か相談できる人がいたらなぁ)
朱里ちゃん含めクラスの友達には、そもそも桐野江家にお世話になっていることを伝えていないから、気軽に話すこともできないし……。
(……あ、そうだ)
相談できそうな人が、一人いることに気づいた。
私は桐野江家へと向けていた足を方向転換する。
そして、そこから歩くこと十五分。
辿り着いた先は、“Café&bar Cherish(カフェアンドバー チェリッシュ)”という看板が立てかけられているお店だ。
扉を開ければ、チリンと軽やかなドアベルの音が鳴る。



