「さっきの、平気な振りして耐えてた千夏子ちゃん、可愛かったよ。そそる顔してたわ」
「なっ……」
「そんじゃあね~」
意地悪な顔で笑った由紀さんは、ひらりと手を振って行ってしまった。
――私が照れていたことは、女性慣れしている由紀さんにはお見通しだったみたいだ。
隠せていたと思っていただけに、ちょっぴり悔しくなってしまう。
私も由紀さんの後に続いて校門を出て、今日は用事もないのでまっすぐ帰宅する。
それにしても……。
(まさか私が、女子から呼び出しを受ける日がくるなんてなぁ)
現実でもこういうことってあるんだなって、しかも自分が経験することになるなんて思ってもいなかったから、何だか不思議な感じがする。



