「千夏子ちゃん、すっげーじゃん。少女漫画のヒロインみてーだったね」
「由紀さん、少女漫画なんて読んだことあるんですか? というかこういう時って、普通は間に入って助けてくれたりするものじゃないんですか?」
「少女漫画はねぇ、クラスの子が貸してくれたのをちょーっと読んだことある程度かなぁ。えー、千夏子ちゃんは俺に助けてほしかったわけ?」
「いえ、別にそういうわけじゃないですけど……」
まさか「続けていいよ」なんて言うとは思わなかったから、ちょっと呆れちゃったっていうか……。
やっぱり由紀さんは何を考えているのか分からない人だなって再認識した感じだ。
「ん~、それじゃあさ」
にんまり笑った由紀さんは、何故か距離を詰めてくる。
嫌な予感に何となく後退りしていれば、壁にぶつかってしまった。



