「やっほ~」

「ゆ、由紀!? どうしてここに……!?」

「え~、千夏子ちゃんの姿が見えたから、追いかけてきたんだよね。そしたら修羅場ってるから、面白ぇな~って見学してた」


ニヤニヤと愉しそうに笑っている由紀さんは、かなり悪趣味だと思う。


「あー、俺のことは気にしなくていいから。続けていいよ~」

「つ、続けていいよって……」


先輩たちは、目に見えて狼狽えている。


――まぁ、それはそうだ。

話の渦中の人物が目の前にいるのに、私に文句なんて言いにくいに決まってるよね。


「と、とにかく! 由紀たちにこれ以上付き纏わないで! 迷惑かけるような真似もやめてよね!」


先輩たちは由紀さんには聞こえないよう、私の耳元でそう囁くと、


「ゆ、由紀! 別に私たち、この子とちょっと雑談してただけだからね!」

「そうそう! 別に修羅場ってなんてないよ~」


と、可愛らしい笑顔を浮かべて捲し立てるように言い、慌しく走って行ってしまった。