そもそも、どうしてこんな状況になってしまったのかといえば、帰宅しようとしていたところを先輩たちにつかまり、有無を言わさぬ口調で「付いてきて」と言われてしまったからだ。

用事があるとか、適当な理由をつけて帰ることができればよかったんだろうけど……五人の先輩に行く手を阻まれてしまえば、それも難しかった。


「ねぇ。黙ってないで、何とか言ったらどうなの?」


一人の先輩に、軽く肩を押される。

ふらつきそうになりながら、何とか体制を立て直して、先輩の顔を見つめ返した。

さて、何て答えれば先輩たちに納得してもらえるだろうか……。


「お~、すっげぇ。女子って裏ではこういうことやってんだ」


聞こえた声に、この場にいた全員の視線が、一斉に右を向く。

陽の光を浴びてきらきら輝く銀髪を揺らしている彼は、片手にパックジュースを持ちながら、緩い笑みを浮かべてひらひらと手を振っていた。