「千夏子さんは愛されてるなぁ」
「そう、なんですかね?」
「あぁ。さっき千夏子さんも言ってたが、親からしてみりゃ、何歳になっても自分の子どもであることには変わらんからな。子の成長は嬉しくもあり、同じくらい寂しくもなるもんだ」
「それじゃあ、組長さんも……慎くんの成長を、寂しいなって思ったりするんですか?」
「そうだなぁ。オレの場合は、寂しいっつぅよりも、嬉しいが勝ってるかもしれねぇな。女の子だったら、また違ったのかもしれねぇが……慎はもちろん、アイツら皆、オレにとっては息子みたいなもんだ。最近の楽しそうなアイツらを見てると、胸のつかえがおりたみてぇな……安心した気持ちになったんだ。全部、千夏子さんのおかげだな」
「え? いえ、私なんて何もしてませんよ……!?」
「はっはっ。まぁ、自分じゃぁ中々気づけねぇことだからな。……千夏子さん。これからもバカ息子どものこと、よろしく頼むよ」
組長さんは慎くんのお祖父さんで、他の四人とは血の繋がりもない。
だけど“バカ息子ども”って言いながら皆を見つめる組長さんは、誰が見ても分かるくらい、優しいお父さんの顔をしていた。



