自分の正直な気持ちを伝える。
真面目な顔をして私の話を聞いてくれたお父さんは、眉を下げて、寂しそうに笑った。
「……そうだよな。しっかり者の千夏子は、お父さんがいなくたってやっていける。もう、子どもじゃないんだもんな」
「うん。……それとね、さっきお父さん、辛い思いをさせて悪かったって私に言ったけど……私ね、お父さんとの二人暮らしを、ただ辛い日々だなんて思ってなかったよ。もちろん大変なことだってたくさんあったけど……私の作った料理をいつも美味しそうに食べてくれたこととか、内職をしながらくだらない話をしたこととか……お父さんと一緒だから、全部うれしくて、楽しかった。それが辛い思い出だなんて思ってないよ」
「千夏子……」
「私はもう一人でも大丈夫だけど、これからもずっと、お父さんの子どもだから」
少し照れくさいけど、ずっと伝えられていなかった本音も、この際にと口にしてみた。
するとお父さんは、突然ダバーッと滝のような涙を流し始める。



