借金だって、少しずつ返済していく形でいいって組長さんが了承してくれたわけで……住む場所も見つかった今、私が桐野江家にいる理由はないんじゃないかな。
そう思っていたけど――慎くんの言葉で、私の胸にあったちっぽけな不安は、すぅっと溶けていった。
「千夏子は部外者なんかじゃないでしょ」
「え?」
「だって千夏子は、俺たちのお嫁さんになるんでしょ? それなら、これからもずっと、そばにいてもらわないと」
慎くんの声は、迷いなんて微動も感じさせない、真っ直ぐなものだった。
うつむいていた顔を上げれば、慎くん以外の皆とも目が合った。
私を見つめる皆が、すごく優しい顔をしているから――どうしてか分からないけど、また泣いちゃいそうになったんだ。



