「あ、千夏子ちゃんみーっけ」
「千夏子さん、大丈夫ですか?」
そこに現れたのは、慎くん以外の桐野江家男子たちだった。
「あれ? 千夏子ちゃん、何かあった? 何だか顔が赤いような気がするけど……」
「な、何でもないです!」
「そう?」
「……あ。多分それは、俺が千夏子にき…「あ~!」
私の顔が赤いことに目敏く気づいた尊さんに尋ねられる。
誤魔化そうと思ったけど、慎くんが余計なことを言おうとするから、思わず大きな声を出してしまった。
「な、何だよ、突然でかい声出して……!」
「あ、あはは……その、早く戻らないと、お父さんが心配してるかなって思って!」
ビクリと肩を震わせた一哉くんは、私の言葉を聞くと、眉を寄せて心配そうな顔つきになる。



