【番外編更新中】騙し愛され落とし合い ~借金帳消しのために、××の家でお嫁さん候補としての生活を始めます~



――そうだ。嫌いになんて、なれるわけないんだ。

だって、どれだけムカついたって、お父さんのことが大好きって気持ちは変わらないから。


だからこそ、勝手に全部決められたことが悲しかった。

相談してほしかった。

お父さんにとったら、私はいつまでたっても頼りのない子どものままなんだって……それを実感して、悔しくなったんだ。


「っ、うん……」

「あー、また泣くし。千夏子って意外と泣き虫だよね」


慎くんは、私の涙にぬれている頬を自分の服の袖でぬぐってくれる。


……ここでハンカチを出さないところが慎くんらしいな。

そう思ったら、悲しい気持ちがほんの少しだけ和らいで、クスリと笑ってしまいそうになった。