――私、来栖千夏子は、この三月に中学校を卒業したばかりの十五歳。
現在は小さなアパートで、父親と二人暮らしをしている。
お母さんは、私が小学生の時に交通事故で亡くなった。
それからは、お父さんが男手一つで私をここまで育ててくれた。
けれど数か月前にお父さんの勤めていた会社の株が大暴落し、会社の経営はみるみる傾いていき、終いには倒産。
父はリストラされてしまったのだ。
しかし、悲劇はそれだけで終わらなかった。
お父さんのお人好しなところに付けこんだのだろう、元職場の同僚に騙されて、多額の借金まで背負わされてしまったのだ。
中学生だった私は、義務教育期間だったこともあり、何とか中学校を卒業することはできたけど……家を立ち退かなければならなかったり、借金取りが家を訪ねてきたりと、慌しい毎日を送っていた。
まだ高校入学前の私は、法律でバイトをすることはできない。
だから最近では、お父さんの知り合いが営んでいる個人経営のお店で、裏方作業のお手伝いなんかもさせてもらっている。
貰えるのはお小遣い程度だけど、それでも生活の足しにはなるから、すごく有難い。
それに家に居る時は家事の合間に、こうして内職をしたりして過ごしている。



