「千夏子。今まで辛い思いをさせてしまって、本当にすまなかった。だけどもう、あんな危険な目に遭わせたりしないからな。お父さんもそばにいるし、千夏子はアメリカの学校に通えばいい。住む場所もサムさんが用意してくれるそうだから、心配しなくていいぞ」
そう言ったお父さんは、私を安心させるような柔らかい表情で笑っている。
だけど、だけどね……。
「……お父さんは、自分勝手すぎるよ」
「え?」
「どうしてそうやって勝手に決めちゃうの? 私は一緒に行きたいなんて一言も言ってないのに」
「だ、だけど千夏子は、はじめは桐野江さんのお宅にお世話になることも嫌がっていただろう?」
「うん、そうだね。でもお父さんが強引に決めちゃったんだよ。……お父さんって、いっつもそう。一人で突っ走って、私のためだって勝手に決めつけたりして。私のことなんて、本当はどうでもいいって思ってるんでしょう?」
「そ、そんなわけないだろう!? お父さんは、千夏子のことを心から思って……「いいよ、そんな無理しなくて。……私なんて、いっそ、生まれてこなきゃよかったのかもね」
「っ、千夏子!」



