「辰寿さん、お久しぶりです!」

「あぁ、啓治さんも元気そうで何よりだ」

「辰寿さんもお変わりないようで良かったです。また飲みにでも行きませんか?」

「お、いいねぇ」


現在、桐野江家の客間にて。

この場にいるのは私とお父さん、そして組長の辰寿さんと若頭の杉下さんだ。

組長さんとの挨拶をすませたお父さんに、改めてさっきの話はどういうことかを確認する。


「お父さん。それで、アメリカに行こうっていうのは、どういうこと?」

「あぁ、実はな――」


お父さんの話をまとめると、出稼ぎ先で知り合った経営者のサムさんという方のつてで、アメリカに本社がある小さな外資系企業で仕事をさせてもらえることになったらしい。


「でも、借金はどうするの?」

「それは……まぁ、何とかなる。というかする!」

「何とかって……」

「アメリカで働けば、今までよりもずっと稼ぎがよくなるんだ。時間はかかってしまうかもしれないが、必ずお返しするということで辰寿さんにも話は通してある」


黙って話を聞いてくれていた組長さんに視線を向ければ、お父さんの言葉に同意するようにうなずいている。