「千夏子と一哉がキスしたってことだよね? 何で? 事故っていつの話?」
「あの、慎くん? ちょっと距離が近いんだけど……」
迫ってくる慎くんをそっと押しのけて部屋を見渡してみれば、田口を含めた借金取りの男たちが、全員そろって地面に倒れている。
死屍累々って、こういう光景のことをいうのかもしれない。
というか……今更だけどこれって、色々と大丈夫なのかな?
「とりあえず千夏子ちゃんも無事だったわけだし、家に帰ろうか。ちなみに、この後のことは杉下さんたちが収めてくれるれるみたいだから、気にしなくて大丈夫だよ」
同じく部屋を見渡していた尊さんが、話をまとめてくれる。
その時、出入り口の方からバタバタと慌しい足音が聞こえてきた。
――田口の仲間かもしれない。
思わず身構えてしまったけど、姿を現したのは、私がよく知る人物だった。



