「……俺さ、お前に伝えておきたかったことがあんだよ」
「え?」
相手をしていた男を伸してこちらに歩いてきた一哉くんは、どこか思い詰めたような顔をしている。
「その……この前は、悪かったな」
「この前って、何のこと?」
「そ、それは……肝試しの時、事故とはいえ、その……き、キス、しちまって……悪かったな!」
一哉くんは顔を真っ赤にして謝ってきた。
――そう言えば、そんなこともあったっけ。
あの時はさすがにびっくりしたし、気恥ずかしさもあったけど、時間も経ってすっかり忘れていた。
「私はもう気にしてないし、全然大丈夫だ…「あ、そういえば聞こうと思って忘れてた。そのキスって、何のこと?」
私の声を遮って、慎くんが尋ねてくる。



