「あぁ? ……気軽に触んな」
「いでででっ、な、何すんだこのガキっ、って、うがぁっ……!」
玲くんは男の手をひねり上げたかと思えば、そのまま拳を顔面に叩きこんだ。
殴られた玲くんよりも大柄な男は、地面に倒れ込んでしまう。
――っていうか、今私の目の前にいるのって、玲くんで間違いないよね?
え、玲くんのあんな低い声、はじめて聞いたんだけど……というか、今思いきり殴りかかったよね? 私の幻覚?
玲くんってあんなに強いの?
状況が把握できなくて困惑している間に、すぐそばまで誰かがやってきた。
「お父さんが借金をしてるとは聞いてたけど……まさか千夏子ちゃんまで借金取りと顔見知りだったなんてね」
顔を上げれば、そこに立っていたのは尊さんだった。
座り込んでいた私の手を引いて、立ち上がらせてくれる。
きっと、鈴木さんから私が攫われたことを聞いて、助けにきてくれたんだと思うけど……。



