「はぁ、やーっとクリアできた」


すると、今までスマホゲームをしていた慎が、手元に向けていた視線を持ち上げて話し出す。


「俺さ、恋とか愛とかはよく分かんないけど、千夏子は面倒くさくないし、一緒にいて面白いから好きだよ。だから、千夏子となら結婚してもいいかも?」


“結婚”

まさか慎からそのワードが飛び出してくるとは思っていなかった面々は、驚きに目を見開く。


「それじゃあ慎は、桐野江組を継ぐ気があるってこと?」

「え~、そんなの、面倒だから嫌に決まってるじゃん」

「でも、千夏子ちゃんと結婚するってことは、イコールこの家を継ぐっていう話になるんじゃないの?」


尊の言葉に、桐野江家男子たちは各々考えるような顔つきになる。