「俺は、くだらねぇゲームに参加した覚えはない。……けど、千夏子はこの家のことも頑張ってくれてるだろ。その厚意を無下にして泣かせるような奴は、許さねぇ」
「ひゅぅ、一哉くんカッコイイ~」
「っ、お前なぁ……!」
一哉の真剣な思いを茶化した由紀は、怒る一哉を無視して他の面々にも目を向ける。
「尊は?」
「……さぁ、どうだろうね」
感情を隠すような読めない笑みを浮かべている尊は、矛先を隣にいる玲に向ける。
「玲はどうなの? 家のことも積極的に手伝ってるみたいだし、この中では千夏子ちゃんと話す機会も一番多いんじゃない?」
話を振られた玲は、しばらく黙り込んでいたが、おもむろに口を開く。
「別に……何とも思ってねぇよ。まぁ、変な女であることは確かだな」
「ふーん、そっか」
――でも、何とも思っていない顔ではないんだよなぁ。
そう思いながらも、尊はあえてそれを指摘することはしなかった。
聞いたところで、玲が心情を包み隠さず教えてくれるとは思えなかったからだ。



