「あのぉ、由紀先輩たちも、尊先輩みたいにお手伝いで呼ばれてたんですか?」

「でも、昨日は全然姿が見えませんでしたけど……」

「ん~? 俺と玲は、たまたまこのホテルに泊まってただけ」

「えー! すごい偶然ですね!」

「だなぁ。運命かも?」

「え~!」


由紀さんは平然と嘘を吐いているけど、気づかない女の子たちは、由紀さんの気障なセリフに頬を染めて喜んでいる。

私は由紀さんたちと目を合わせないように、気配をなるべく消すようにしてそばを素通りしようとした。


「あ、千夏子ちゃんみ~っけ」


――だけど由紀さんにあっけなく見つかり、名前まで呼ばれてしまった。