――昨晩、尊さんたちと別れたあと、全然寝つけなかったんだよね。

ここまで寝不足なのも久しぶりかもしれない。

ここは朱里ちゃんの厚意に甘えて、バスでひと眠りさせてもらおう。


ぼんやりする頭でそんなことを思いながら、集団の流れにのってホテルを出る。

すると前方から、女の子たちの嬉しそうな声が聞こえてきた。


「えっ、何で由紀先輩がいるわけ!?」

「しかも玲くんもいるじゃん! 尊先輩みたいに先生に呼ばれてたのかな?」

「めっちゃ嬉しい~!」


なぜかホテルの正面玄関に立っていた由紀さんと玲くんに、気づいた女子たちがざわついている。

昨日の肝試しにもこっそり参加していた二人だけど、レクリエーション係になっていた一部の人にしか脅かし役として参加することは伝えていなかったらしい。

だから、二人がこのホテルに泊まっていたことなんて知らない女の子たちは喜んでいる。